SoftEther VPN フリーウェアおよび日本語 Web サイトを正式公開

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    2013 年 7 月 25 日 (木)

    SoftEther VPN プロジェクト 登 大遊

    (筑波大学大学院システム情報工学研究科 博士後期課程)
     

    本日、SoftEther VPN プロジェクトはフリーウェアである SoftEther VPN の正式版をリリースしました。また、同時に SoftEther VPN プロジェクトの日本語版 Web サイト (http://ja.softether.org/) も正式公開いたしました。これまでは、ソフトウェアのバージョンは RC (リリース候補) 版であり、Web サイトは英語のみで公開していました (日本語のページは先日よりプレビュー公開していました)。

     

    SoftEther VPN は、筑波大学発ベンチャー企業であるソフトイーサ株式会社の PacketiX VPN 4.0 と同等のコードをもとに構築されたフリーウェアの VPN ソフトウェアです。性能やプロトコルは PacketiX VPN 4.0 と全く同等であり、ソースコードの大部分も共有しています。PacketiX VPN 4.0 は企業向けの商用製品であり、技術サポートも提供されます。一方、SoftEther VPN は無償で使用できますが、技術サポートは提供されません。2013 年中旬にソースコードもオープンソース化される予定です (現在、権利問題の解決のために一部のコードを整理しているほか、コメントの英語化作業を実施しています)。GPL ライセンスとしてソースコードが公開された後は、どなたでも SoftEther VPN のコードを変更したり、機能を追加したり、ハードウェアに組み込んだり、独自ブランド化して配布したりすることができるようになります。

     

    SoftEther VPN は、2010 年に公開された「筑波大学 VPN プロジェクト」(UT-VPN: http://utvpn.tsukuba.ac.jp/) の後継プロジェクトです。UT-VPN は製品版の PacketiX VPN 3.0 がベースとなっていましたが、SoftEther VPN は PacketiX VPN 4.0 がベースとなっています。

     

    SoftEther VPN は、とても強力で簡単な複数 VPN プロトコル対応の VPN ソフトウェアです。Windows, Linux, Mac, FreeBSD および Solaris で動作します。簡単に SSL-VPN を構築することができます。

    SoftEther VPN はファイアウォールに対する優れた耐性を有しています。組み込みの NAT トラバーサル機能は、社内ネットワークのファイアウォールの背後に設置された VPN Server に対して簡単にインターネット上から接続でき便利です。ファイアウォールの設定を変更せずに、社内にリモートアクセス VPN サーバーを構築できます。

    SoftEther VPN を用いることにより、Ethernet を仮想化する形で簡単に VPN ネットワークトポロジを設計、実装することができます。SoftEther VPN Client は仮想 LAN カードを実装し、SoftEther VPN Server は仮想 HUB を実装しています。

    リモートアクセス VPN および拠点間接続 VPN を Ethernet ブリッジ (レイヤ 2) を延長する形でとても簡単に構築できます。従来の VPN のような IP ルーティング (レイヤ 3) ベースの VPN も構築可能です。

    SoftEther VPN は今流行している BYOD (個人のデバイスの社内利用) にも利用できます。L2TP/IPsec サーバー機能が搭載されており、Windows, Mac, iOS および Android から接続できます。SoftEther VPN は OpenVPN, IPsec および MS-SSTP VPN プロトコルをサポートしています。

    SoftEther VPN は現在使用されているほぼすべての VPN プロトコルと強力な互換性があります。OpenVPN, L2TP, IPsec, EtherIP, L2TPv3 および Cisco 社のルータや Microsoft SSTP VPN プロトコルからの VPN 接続を受付けることができます。iPhone や Android などのスマートフォンからの接続もサポートしています。

     

    SoftEther VPN に搭載されている OpenVPN, L2TP, IPsec, EtherIP, L2TPv3 などの新しい VPN プロトコルの通信機能は、作者である 登 大遊 (筑波大学大学院システム情報工学研究科) の 2012 年度の修士論文執筆のために開発されました。

    研究の概要は http://ja.softether.org/4-docs/9-research に掲載されています。
     

    SoftEther VPN は現在日本語、英語、中国語の 3 カ国語版が http://www.softether.org/ (日本語: http://ja.softether.org/) よりダウンロード可能です。SoftEther VPN の英語 Web サイトは 2013 年 3 月 8 日から公開されており、これまでの 4 ヶ月間余りで世界中で約 30,000 台のサーバーコンピュータにインストールされ使用されています。

     

    SoftEther VPN は現在はフリーウェアとして配布していますが、2013 年中旬には UT-VPN と同様にオープンソース化 (GPL ライセンス) 予定です。