SoftEther VPN と VPN Gate との違い

    最近、SoftEther VPN プロジェクトが多くの (海外の) ニュース記事などに掲載され話題となっています。誠にありがとうございます。しかし、残念なことにいくつかのニュース記事においてはあたかも SoftEther VPN プロジェクトVPN Gate プロジェクトと同一のものであるかのように誤解された説明がされているものがあります。そこで我々はこの 2 つのプロジェクトが違うものであるということをここで説明します。

     

    SoftEther VPN プロジェクトとは

    SoftEther VPN プロジェクトは、安全で複数プラットフォーム対応の使いやすい多数の VPN プロトコルに対応したソフトウェアである SoftEther VPN を開発して配布することを目的としています。
     

    VPN Gate プロジェクトとは

    VPN Gate プロジェクトは SoftEther VPN のためのプラグインモジュールである VPN Gate ソフトウェアを開発して配布することを目的にしています。
     

    SoftEther VPN とは一体何であるか ?

    selogo.jpgSoftEther VPN は VPN スイート・ソフトウェアです。誰でも SoftEther VPN を使って自分専用の VPN を構築することができます。
    たとえば、SoftEther VPN Server をオフィスをインストールしたとします。自宅に帰宅して SoftEther VPN Client をインストールします。すると、自宅の PC はオフィスに接続することができます。これは リモートアクセス VPN と呼ばれています。

    または、SoftEther VPN を会社の本社にインストールしたとします。そして SoftEther VPN Bridge (または SoftEther VPN Server) を支店にインストールしたとします。すると、支店のオフィスは本社とリンクしたことになります。両方の拠点にあるそれぞれのコンピュータは、互いに通信できるようになります。拠点数が 3 個またはそれ以上あっても同様です。これは 拠点間接続 VPN と呼ばれています。

    SoftEther VPN Server を構成するときには、仮想 HUB オブジェクトユーザーオブジェクト とを VPN Server に作成します。ユーザー、またはリモート拠点の VPN Client または VPN Bridge は VPN Server に対して接続するための正確な認証情報を持っていなければなりません。認証情報なしでは VPN Server にログインすることはできません。

    VPN Gate Server と異なり、あなた専用の SoftEther VPN Server は世界中からの匿名のアクセスをすべて拒否します。

     

    それでは VPN Gate とは何であるか ?

    vpngate.jpgVPN Gate は SoftEther VPN に対応した拡張モジュールです。VPN Gate 拡張機能はセキュリティのためにデフォルトでは無効にされています。SoftEther VPN Server (および SoftEther VPN Client) 上の VPN Gate 拡張機能を有効にすることができます。

    もし VPN Gate 拡張機能を有効にしたときは、"VPNGATE" という仮想 HUB が VPN Server 上に作成されます。"VPNGATE" 仮想 HUB は "vpn" という名前のユーザーを匿名接続可能な状態で有しています。これはつまり、あなたの VPN Server の IP アドレスを知っている人であれば誰でも "VPNGATE" 仮想 HUB に VPN 接続することができるということを意味します。

    さらに、VPN Gate 拡張機能はあなたの "VPNGATE" 仮想 HUB を www.vpngate.net Web サイト上のディレクトリ (電話帳) に登録します。そのため、世界中の誰でもあなたの VPN Server 上の "VPNGATE" 仮想 HUB にアクセスすることができるようになり、VPNGATE 仮想 HUB を経由して任意の接続先サーバーにアクセスすることができるようになります。(あなたの"VPNGATE"仮想 HUB では仮想 NAT および仮想 DHCP 機能が有効にされているため。)

     

    VPN Gate 拡張機能をインストールするか否かは任意ですか ?

    はい。

    VPN Gate 拡張機能はデフォルトで無効にされています。この機能はあなたが自分自身の手で有効しない限り何もしません。もし SoftEther VPN Server をボランティアとして提供し、世界中の人から利用できるようにしたい (たとえば政府によるファイアウォールの内側にある人たちのために) のであれば、VPN Gate 拡張機能を有効にしてください。それ以外の場合は VPN Gate 拡張機能を有効にしないでください。VPN Gate が有効になっていなければ、VPN Server におけるゲストユーザーからのアクセスは拒否されます。

     

    1 台の SoftEther VPN Server で VPN Gate の役割と自分専用の VPN の役割を共存させることは可能ですか ?

    はい。

    あなたはあなた専用の仮想 HUB と、VPN Gate のための公開仮想 HUB とを、SoftEther VPN Server の単一のインスタンス上で混合させることができます。

    VPN Gate 拡張機能は単に "VPNGATE" という仮想 HUB をあなたの SoftEther VPN Server 上に作成するだけです。

    "VPNGATE" 仮想 HUB は世界中の誰でも http://www.vpngate.net/ から IP アドレスを取得した人であれば接続できます。

    もしあなたが SoftEther VPN Server にこれ以外の仮想 HUB を作成したのであれば、その仮想 HUBは"VPNGATE"仮想 HUB から分離されています。あなた専用の仮想 HUB に接続するための認証情報を持たない人は、仮想 HUB に接続することはできませしたがって、1 台の SoftEther VPN Server を用いて簡単に VPN Gate の機能とあなた専用の VPN 機能とを共存させることができます。しかし、VPN Server をボランティアとして提供したいという強い意図がないのであれば、VPN Gate 拡張機能を有効にするべきではありません。詳しくは、あなたのコンピュータを VPN サーバーとして提供する方法 (バーチャルなインターネットサービスプロバイダになる) を参照してください。

     

    SoftEther VPN プロジェクトと VPN Gate プロジェクトは同一のものですか ?

    いいえ。

    SoftEther VPN プロジェクトは SoftEther VPN Server を開発しています。VPN Gate プロジェクトは VPN Gate 拡張機能モジュールとプラグインを開発しています。VPN Gate プロジェクトではまた、http://www.vpngate.net/ 上における公開 VPN 中継サーバーリストをホストしています。

    一部の方々は SoftEther VPN プロジェクトと VPN Gate プロジェクトとが同一のものであると誤解しています。なぜならば、両方のプロジェクトは筑波大学内でホストされており、共通のメンバーを有しているためです。しかし、2 つのプロジェクトの方向性や目的は異なっています。SoftEther VPN プロジェクトの責務は、セキュアで信頼できる複数プラットフォーム対応でマルチプロトコルな VPN サーバーを開発することです。VPN Gate プロジェクトの責務は VPN を政府のファイアウォールを回避するための目的で利用することを推進することです。