SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge に付属しているユーティリティである「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」は Windows に対応した管理ユーティリティです。ここでは、VPN サーバー管理マネージャの使用方法について解説します。
2.4.1 VPN サーバー管理マネージャとは
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」は、SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge を、ローカルまたはリモートコンピュータによって管理するための Windows の GUI (グラフィカルユーザーインターフェイス) に対応した管理ソフトウェアです。VPN サーバー管理マネージャを使用すると、複雑なコマンドや操作方法を習得しなくても、SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge に接続して管理作業を行うことができます。また、使い慣れた Windows 端末から、Windows 以外の UNIX 系オペレーティングシステムで動作する SoftEther VPN Server / SoftEther VPN Bridge を GUI で管理することができます。
VPN サーバー管理マネージャを使用すると、インターネットを経由して離れた場所にある VPN Server / VPN Bridge に接続して管理作業を行うことができるので、大変便利です。接続する際には、接続先の VPN Server / VPN Bridge の「ホスト名」または「IP アドレス」と、それらのサーバーで動作している「リスナーポートの番号」を 1 つ指定します。ネットワーク経由でサーバー管理を行う場合は、すべての通信内容は SSL によって自動的に暗号化されるので安全です。
なお、「VPN サーバー管理マネージャ」の使用方法については 「3.3 VPN Server 管理」 をお読みください。
VPN サーバー管理マネージャによる VPN Server と VPN Bridge の管理
2.4.2 VPN サーバー管理マネージャの対応システム
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」は、SoftEther VPN Server の Windows 版が対応しているオペレーティングシステムすべてで動作します。詳しくは、「仕様」 をお読みください。
なお、日本語版の VPN サーバー管理マネージャを、Windows 98、Windows 98 Second Edition および Windows Millennium Edition で使用する場合はオペレーティングシステムが日本語版である必要があります。それ以外の Unicode に対応したオペレーティングシステムでは、他言語版でも使用することができます。
2.4.3 VPN Server および VPN Bridge への接続
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」は、VPN Server および VPN Bridge に対して接続し、リモート管理することができます。接続先の VPN Server または VPN Bridge が同じマシンで動作している場合は、「localhost」に対して接続することができます (この場合はプロセス間通信が行われ、ネットワーク通信は発生しません)。
SoftEther VPN サーバー管理マネージャはまた、HTTP プロキシサーバーまたは SOCK プロキシサーバーを経由して、リモートで動作する VPN Server および VPN Bridge を管理することもできます。
VPN Server および VPN Bridge に接続する際には、接続モードとして「サーバ管理モード」と「仮想 HUB 管理モード」の 2 つのモードのうち、どちらか 1 つを選択します。
- サーバー管理モード
Server administration mode is used when authorized to administer the entire SoftEther VPN Server. If connected in the server administration mode, you can acquire or modify setting information for the entire VPN Server and you can administer all Virtual Hubs operating in that VPN Server. If conducting administration by connecting to SoftEther VPN Bridge, connection is always in the server administration mode. - 仮想 HUB 管理モード
「仮想 HUB 管理モード」では、SoftEther VPN Server 内で動作している仮想 HUB のうち 1 つを選択し、その仮想 HUB に対して管理者として接続します。このモードは、SoftEther VPN Server 全体の管理者から、個別の仮想 HUB に対する「管理権限」を委譲された場合に使用します。
管理権限の委譲については、詳しくは 「3.3 VPN Server 管理」 をお読みください。
2.4.4 VPN サーバー管理マネージャのみのインストール
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」ソフトウェアは、SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge の「Windows 版」をインストールすると、コンピュータに同時にインストールされます。
また、インストーラを使用して「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」のみをインストールすることも可能です。
SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge をインストールしたコンピュータをリモートから管理するためには、上記の 2 つのファイルを任意の管理用の Windows コンピュータの任意のディレクトリにコピーすることでインストールしてください。これにより、SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge を、管理者用のノート PC などから GUI で管理することができます。
2.4.5 セットアップウィザード
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」を用いて、インストール後全く設定されていない SoftEther VPN Server または SoftEther VPN Bridge に接続すると、「SoftEther VPN Server / Bridge 簡易セットアップ画面」が表示される場合があります。
この簡易セットアップウィザードを使用すると、リモートアクセス VPN 用の VPN サーバーや拠点間接続 VPN 用の VPN サーバー / ブリッジのための設定を簡単に行うことができます。
本オンラインマニュアルでは簡易セットアップウィザードの使用方法については解説されていませんが、簡易セットアップウィザードの使用方法はとくに解説が不要である程度に容易です。
SoftEther VPN Server / Bridge 簡易セットアップ画面
2.4.6 制限事項
「SoftEther VPN サーバー管理マネージャ」は、GUI でほぼすべての操作ができる優れた管理ソフトウェアですが、下記のような制限事項があります。
- Windows の GUI に対応したソフトウェアであるため、Windows 以外のオペレーティングシステムでは動作しません。したがって、Linux やその他の UNIX システムから SoftEther VPN Server を管理するために使用することはできません。(Linux やその他の UNIX システムで動作している SoftEther VPN Server を Windows 端末から管理することはできます。)
- GUI ソフトウェアのため、コマンドラインからの入力によって動作させることは困難です。したがって、スクリプト状のコマンド列を読み込ませることによっていろいろな管理を自動化させることは容易ではありません (別の GUI 操作の自動化ツールを使用すれば可能ですが、一般的ではありません)。
- 「vpncmd」コマンドにおける "reboot" コマンドを実装していません。
上記のような制限事項にかかるような管理を行いたい場合は、「VPN コマンドライン管理ユーティリティ (vpncmd)」の使用をお勧めします。vpncmd については、「2.6 VPN コマンドライン管理ユーティリティ (vpncmd)」 および 「6. コマンドライン管理ユーティリティマニュアル」 をお読みください。