5. 簡単なインストールと管理

    5.1. ソフトウェアプログラムとして提供

    SoftEther VPN はハードウェア VPN 製品ではありません。あなたは今すぐ SoftEther VPN をダウンロードしてコンピュータにインストールすることができます。もし SoftEther VPN を試しに使用してみたいという場合、新しいサーバー PC を購入する必要はありません。その代わりに、あなたは職場や自宅で余っている PC を VPN サーバーとして使用することができます。SoftEther VPN によってサポートされているいずれかのオペレーティングシステムを稼働させることができる PC であれば、SoftEther VPN を稼働させることができます。試しに SoftEther VPN をインストールしてみることにより経費が発生するリスクはありません。

    SoftEther VPN をまじめに使用したいと考える場合は、新しいサーバーコンピュータを購入することも良い方法です。しかしコンピュータの経費を節約したいのであれば、1 台のサーバーコンピュータを複数の目的で共有すれば良いでしょう。オペレーティングシステムは複数のサーバープログラムを同時に動作させることができます。

    SoftEther VPN はソフトウェアであるため、新しいバージョンがリリースされた場合は簡単に更新することができます。ハードウェア VPN 製品と異なり、ファームウェアプログラムを更新するという面倒な作業は必要ありません。サーバーにリモートログインしてインストーラを起動するだけで十分です。

     
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    SoftEther VPN は単なるプログラムです。バックグラウンドサービスとして動作します。

    5.2. ネットワークトポロジの設計が容易

    すでに述べたように、SoftEther VPN は Ethernet の各デバイスを単純に仮想化します。したがって、SoftEther VPN および SoftEther VPN を用いたネットワークトポロジの設計について理解することは、Ethernet に関する基本的な知識を持っている人であれば誰にとってもとても簡単です。これが SoftEther VPN にとっての、既存のレガシーで面倒な VPN システムにはない最大の利点です。

    シンプルであるという SoftEther VPN の特徴により、もし何らかの問題が発生した場合でもトラブルシューティングはとても簡単です。あなたはもはや IPsec や Cisco に関する「金食い虫」の専門家に依頼する必要はありません。

     
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    SoftEther VPN は使用やネットワーク設計がとても簡単です。VPN 初心者でも今すぐ始めることができます。

    5.3. マニュアルを読む必要がない程インストールが簡単

    面倒なマニュアルを読むことなく、インストールと初期設定はあなた 1 人で実施できます。ほとんどすべての設定は Windows 用のグラフィカルな設定ツールによりマウスをクリックするだけで完了します。コマンドラインや、ほとんど役に立たないような Web ベースの管理が必要な他の VPN システムと比較すれば、これは大きな利点です。
     
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    SoftEther VPN セットアップウィザード。Cisco VPN ルータの 100 倍以上簡単です。
     
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    インストールは 1 分間もかかりません。今すぐやってみてください。

    5.4. リモート管理も簡単

    SoftEther VPN Server は TCP/IP ネットワーク経由でリモートコンピュータから管理することができます。例えば、SoftEther VPN Server を Linux サーバーにインストールし、そのコンピュータを会社のマシンルームに設置したとします。そしてあなたは Windows のノートパソコンを 1 台持っているとします。この状態で、あなたは GUI 管理ツールを Windows のノートパソコン上にインストールし、VPN Server にリモート接続することができます。VPN Server が VPN 管理ツールからの接続を受付けるための RPC のための TCP ポートは VPN 通信を受付けるためのポートと同一であり、面倒な設定は一切不要です。管理用のコネクションを流れる RPC (Remote Procedure Call) パケットは VPN パケットと同様に SSL で暗号化されています。
     
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    VPN サーバー管理マネージャはリモートの VPN Server プログラムに接続して管理できます。
    Windows のノートパソコンから、Linux、FreeBSD、Solaris または Mac 上の VPN Server も管理できます。

    5.5. GUI 管理ツール

    SoftEther VPN Server を管理するための一般的で快適な方法は Windows 用の GUI 管理ツールを使用することです。このツールは SoftEther VPN Server がどこにあっても、またどのオペレーティングシステム上で動作していても使用することができます。

    GUI 管理ツールは VPN Server 上における多種使用な設定が可能なように実装されています。そのため、面倒なコマンドラインインターフェイスや、時々クラッシュするような Web ベースの管理画面を使用する必要は全くありません。これは他のレガシーな VPN 製品と比較して対照的です。

     
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    VPN サーバー管理マネージャのメイン画面です。すべてのコントロールがここから可能です。
     

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    ユーザー管理画面です。仮想 HUB ごとにユーザーを追加、削除または編集できます。

     

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    ユーザー編集画面です。

     

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    VPN Server に接続している現在の VPN セッションの一覧を表示できます。
    ここから各セッションについてより詳しい情報を表示したり、セッションを強制切断したりできます。

    5.6. コマンドライン管理ツール

    もちろん SoftEther VPN はコマンドライン管理ツールも具備しています。これは "vpncmd" プログラムと呼ばれています。vpncmd プログラムは、SoftEther VPN Server を管理する際に何らかの理由のため GUI 管理ツールを使用することができない場合に使用します。たとえば、仮想 HUB に数千人のユーザーを一度に登録したい場合、vpncmd に対して流し込むバッチファイルをテキストで作成すれば、そのスクリプトファイルを用いてすべてのユーザーを簡単に作成することができます。これはマウスのクリック回数を削減できます。

    vpncmd を使用するべきその他の目的として、一定期間ごとの自動的なタスクの実行が挙げられます。たとえば、毎日決まった時刻に仮想 HUB をアクティブ化したり停止させたりしたい場合は、OS のタスクスケジューラを設定して指定した時刻に vpncmd を適切なコマンドラインと共に呼び出すようにするだけで良いのです。

     
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    "vpncmd" は VPN Server、Client および Bridge を管理するためのコマンドラインユーティリティです。
    vpncmd は Windows、Linux、FreeBSD、Solaris および Mac OS X 上で動作します。
    vpncmd はバッチファイルやシェルスクリプトから起動することもできます。

     

    5.7. ユーザーモードインストール

    伝統的な VPN サーバーソフトウェアは使用前にインストールする必要があります。そしてインストール作業には管理者権限が必要です。すなわち、もし管理者アカウントのパスワードを知らないあなたの会社の PC にはあなたは VPN サーバーソフトウェアをインストールすることができないということになります。これはとても不便なことです。

    この問題を解決するため、SoftEther VPN Server は「ユーザーモードインストール」機能を備えています。あなたがコンピュータに VPN Server をインストールする場合、たとえ管理者権限を持っていなくても、管理者に対してインストールしてもらうよう依頼する必要はありません。ユーザーモードインストール機能はシステム管理のコストを引き下げ、会社の中にいる個別の一般ユーザーの自己のコンピュータ上でそれぞれ VPN Server を動作させることによるリテラシーの引き上げにつながります。

    一般ユーザー権限で VPN Server をインストールして稼働させることは、セキュリティ上も有益です。ほとんどの VPN 製品 (Cisco 社、Juniper 社、Microsoft 社および Check Point 社) はオペレーティングシステム上のカーネル空間またはシステム空間上で動作します。もし VPN システムに脆弱性が発見された場合、その脆弱性によりシステム全体が影響を受ける可能性があります。これはとても危険です。したがってユーザーモードインストール機能は単に便利なだけでなく、セキュリティも向上させるのです。

    ユーザーモードインストール機能はとても簡単です。これはセットアップウィザードによってサポートされています。単に「ユーザーモード」と書かれたラジオボタンをウィザード上で選択するだけです。UNIX 上では代わりに Makefile を使用しますが、VPN Server プロセスはユーザーモードで稼働させることができます。

     

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    ユーザーモードインストールオプション。
    あなたが Administrator のパスワードを持っていなくても VPN Server をインストールできます。

     
     

    5.8. 多言語版、シングルバイナリおよび Unicode のサポート

    SoftEther VPN は多言語を完全にサポートしているソフトウェアです。SoftEther VPN の単一のバイナリファイルは次の 3 種類の言語をサポートしています: 英語、日本語および簡体字中国語。一度ソフトウェアをコンピュータにインストールした後でも、画面に表示される言語をいつでも変更することができます。言語の変更を行う際にコンピュータを再起動する必要は全くありません。

    SoftEther VPN は Unicode 文字列をサポートしています。どのような地域言語でもソフトウェア上で使用できます (一部の ASCII 文字を要求するフィールドは除きます)。もしあなたの会社が多国籍企業であれば、単一の VPN Server 上にすべての社員のフルネームを登録したユーザーオブジェクトを作成することができます。

     
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    Japanese Version (日本語版).

     
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    Simplified Chinese Version (简体中文版).

     
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    複数の言語を混在させて利用することができます。